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韃靼人の踊りって?

 韃靼人(だったんじん)とは、タタール人の中国名であって、ボロディンのオペラ【イーゴリ公】に登場する民族とは異なるので、本来は「ボーロヴェツ人の踊り」という曲名である。イーゴリ公とは中世ロシア文学の金字塔として知られる『イーゴリ軍記』の主人公である。当時南からボーロヴェツ人がキエフ・ロシアに侵入して略奪を繰り返していたが、これに対しイーゴリ公は数回の討伐遠征を行った。1185年の遠征でイーゴリ公は敗れてボーロヴェツ人に捉えられたが、後に逃走した。この「韃靼人の踊り」という曲は、イーゴリ公が捕虜として捉えられている敵陣営での宴での余興の場面を描いたものである。

様々な踊り

 曲全体が小さな舞曲の集まりになっている。曲の移り変わりやそれぞれの踊りを意識しながら聴いてほしい。大きく前半と後半に分けて紹介しよう。

<前半>

 木管楽器による東洋的な序奏の後「娘たちの流麗な踊り」に入る。本来ならばここで合唱が入るが、管弦楽曲の場合は、オーボエやコーラングレがその旋律を奏でる。リード楽器の見せ場である。ここまではゆったりとした曲調であったが、その後唐突な転調によって曲調は一転し、「男たちの激しい踊り」へ移る。テンポが速くなることで曲の入れ替わりに気がつけるのではなかろうか。冒頭、特徴的な細かい動きのクラリネットの旋律がやはり東洋的である。これをピッコロからヴァイオリンへとリレーのように受け継がれていく。その後、「全体の踊り」「奴隷たちの踊り」に移る。ここは敵であるコンチャーク汗を讃える場面である。コンチャーク汗はイーゴリ公に女奴隷たちの踊りを自慢げに見せながら「気に入ったらどの女でも差し上げよう」と歌って気前のいいところを見せる。この部分で初めて大太鼓が加わり、全員が舞台に出て勇壮な情景を盛り上げる。しかしクライマックスに達した後短い後奏があって、一度はこの騒ぎが静まる。

<後半>

  後半は急速な「少年たちの踊り」で始まる。これがこの先繰り返される。まず「男たちの踊り」が挿入され、合唱であれば男声合唱がユニゾンで力強くコンチャーク汗を讃える。このあと「娘たちの流麗な踊り」が最初よりも少し早いテンポで再現される。そして再び「少年たちの踊り」「男たちの踊り」が帰ってくる。フィナーレはこれまでの踊りとはことなるメロディーで、盛大に締めくくられる。

フィギュアスケートでも使われた

 11月12日に行われたISUグランプリシリーズフランス大会(フランス杯)男子フリープログラムで、アメリカ代表のネイサン・チェン選手が「韃靼人の踊り」を演技の曲として使用した。ネイサン・チェン選手とは、あの羽生選手も認める驚異の17歳。今シーズン待望のGPシリーズデビューを果たすと、シニア1年目となる今シーズンはフリーでなんと「4回転ジャンプ×4種類」という驚異的なプログラムに挑戦し、世界に衝撃を与えている選手だ。そんな彼が先月行われたグランプリシリーズフランス大会のフリープログラムの演技で、この「韃靼人の踊り」を使用した。今注目の彼の演技とともに、彼が表現する「韃靼人の踊り」を見てもらいたい。

ここを聴いてほしい!by熊大フィル

「木管楽器の掛け合わせ -練習の成果-」 

  冒頭にある木管楽器の掛け合い。各々の譜面が技術的に演奏することが難しいうえに、それを皆で合わせるというさらなる難題がありました。中高から楽器をしていたメンバーや、もちろん大学から楽器を始めたメンバーもいます。また1年生、2年生、3年生と学年がバラバラで忙しさから中々練習時間をとれないメンバーもいました。週3回の練習と週末に行われる全体合奏。学部も学年もばらばらな8人が、一生懸命練習してきました。本番は個人の演奏はもちろん、それぞれの掛け合いにも注目して聴いていただきたいです。