「展覧会の絵」ってどんな曲?

 組曲「展覧会の絵」は、ムソルグスキーが友人であり画家であった人物の遺作展を歩きながら、そこで見た10枚の絵の印象を音楽に仕立てたものである。ムソルグスキーは友人の作品と芸術観をしのび、ピアノ曲「展覧会の絵」を完成させた。しかしムソルグスキーの生前は一度も演奏されず、彼の死から約40年後に復活させたのがラヴェルである。ラヴェルは「展覧会の絵」を管弦楽へと編曲した。曲は10枚の絵の描写と、5つのプロムナード、「死せる言葉による死者への呼びかけ」から構成されている。プロムナードは全部で5つあるが、全て異なるのため注目して聴いてもらいたい。前の絵から次の絵へ移動する様子を表している。

10枚の絵と5つのプロムナード

~第1プロムナード~

 トランペットを筆頭に奏でるこのフレーズは、これから美術館に入って行こうとしている様子を表現。ヨーロッパ建築の静かで重みのある雰囲気を感じてもらえるだろうか。誰しもどこかで聴いたことがあるであろう有名なフレーズだ。


<1枚目の絵:グノーム> Gnomus

 グノーム(gnome)とは日本語で「妖精」という意味だが、この曲では「こびと」と訳されることが多い。「木の彫刻人形」の絵を見て描いたものとされている。しかし曲の雰囲気はおどろおどろしく、妖精というより妖怪のようだと言われることも多い。実際に、おとぎ話に登場する小人の妖怪が、奇妙な格好で動き回っている様子を表現しているという説もある。

~第2プロムナード~  

 前曲「グノーム」での興奮を抑えるかのように、優しく奏でられるプロムナード。落ち着いた穏やかな気持ちで次の曲を迎えよう。

<2枚目の絵:古城> Il vecchio castello

 場面は中世の幻想へ。イタリアの古い城の前で、リュートと呼ばれる弦楽器を弾きながら歌う吟遊詩人の姿が想像されるだろう。哀愁ただよう音型はリュートの音色そのものであり、ピアノ版では左手が、管弦楽版ではファゴットが奏でる。それと対照的な甘美な旋律は、ピアノ版では右手が、管弦楽版ではアルトサックスで演奏されている。


~第3プロムナード~

 金管楽器が中心となった元気の良いプロムナード。展示室が変わったことを表しているのだろうか。

<3枚目の絵:テュイルリーの庭 (遊んだ後の口げんか)> Tuileries(Dispute d'enfants apprès jeux)

  フランスにある公園にて、子どもたちが口げんかをする情景が描かれている。けんかがどう変化していくのか、子どもたちの様子を想像しながら聴いてもらいたい。


<4枚目の絵:ビドロ(牛)> Bydlo

  泥深い道の中、大きな車輪をつけた荷車を2頭の牛が重い足取りで引く様子を描いている。粘り強く重々しいリズムとスラヴ風の陰鬱さを感じられるだろう。また「ビドロ」の受け取り方には諸説あり、「家畜のように虐げられた人々」という意味で捉えることもあるようだ。ポーランドの反乱において弾圧を受けている民衆への同情と、人々の暗く激しい感情の表出であったのかもしれない。実際、ムソルグスキー自筆の楽譜には最初につけた題名をナイフで削り取り書き直した痕があったそう。そしてビドロの意味を問われたとき、彼は「ここは牛車ということにしておこう」と答えたという説も存在している。

 ~第4プロムナード~

 このプロムナードの主役は木管楽器。次の曲の前奏のよう位置づけである。


 

<5枚目の絵:卵の殻をつけたひなの踊り> Ballet de poussins dans leurs coques

 ガルトマン(画家)は何枚かの水彩画でバレエのコスチュームを描いている。この曲は、「小さな子供たちがカナリヤになって叫び声をあげる」という場面で使われたバレエ衣装がモチーフにされていると言われている。

 <6枚目の絵:サミュエル・ゴールデンベルクとシュムイレ> Samuel Goldenberg und Schmuÿle

  絵はポーランドでスケッチされたもので、「2人のユダヤ人。金持ちと貧乏人」と題されることもあり、2つの絵画を1つの曲として表している。とある説によると、裕福で傲慢な男ゴールデンベルクと貧しく卑屈な男シュムイレの会話を描写した作品である。威張りぶったような冒頭の主題は、おそらくゴールデンベルクであろう。その後細かい音符でぺちゃくちゃと喋り出すのが、シュムイレである。2人の会話が変化していく様子を想像しながら聴いてほしい。

~第5プロムナード~

 本来であれば冒頭のプロムナードと似たものが挿入されるが、ラヴェルが編曲した管弦楽版では演奏されない。

 

<7枚目の絵:リモージュ 市場(重大なニュース)> Limoges"Le marché”(La grand nouvelle)

 フランスリモージュの市場の群集を描いたものだとされている。この曲におけるうわさ話、騒ぎ、けたたましいおしゃべりの声は、もともとムソルグスキーの自筆では文章で表されていた。


 

<8枚目の絵:カタコンベ(ローマ時代の墓)>  Catacombae (Sepulcrum tomanum)

 この暗い水彩画は、彼自身とその友人、そしてパリの墓地を案内するガイドの姿を描いている。地下にある墓地の暗い様子や灯りの様子を想像してほしい。

 ~死せる言葉による死者への呼びかけ~  Cum'mortuis in Lingua Mortua 

 プロムナードを変形したメロディ。重苦しい 気分の和声から、右手のトレモロを響かせつつ次第に明るい和声へと展開していくところが印象的である。

<9枚目の絵:バーバ・ヤガーの小屋(鶏の足のうえの小屋)> Izbushkah nah kuryikh nozhkakh(Baba-Yaga)

雌鶏の足の上に立つ魔女の小屋の一部となった、ロシア風の時計を描き出している。強烈な打鍵による嵐のような冒頭部分は、人間の骨を食らうバーバ・ ヤガーの恐怖を彷彿とさせる。打楽器の迫力ある演奏から始まり、トランペットの和音が響き渡る。エンジンがかかったような始まりのこの曲であるが、中間部は一度落ち着き、ファゴットがひっそりと演奏する。その後最初の部分が再現され、そのまま次の曲へと移り変わる。


 <10枚目の絵:キエフの大門> Bogatyrskie Vorota (vo stolnom gorode vo Kieve)

 キエフに建造されることとなった大門の設計図にインスピレーションを得て作られたと言われている曲だ。その名のとおり,威厳のある雰囲気で始まり,大きく盛り上がっていく。プロムナードにも通じるどっしりとしたこの組曲の主題が印象的だ。突然静かなコラール風の音楽が流れる。これは、親しかった友人ハルトマンと、その才能への賛美の歌なのかもしれない。冒頭の主題とこのコラール風の主題は壮大な変奏を繰り返しながら折り重なっていき、最後にもう一度、冒頭の主題がこれまでにないエネルギーを放出させるかのようなコーダ部分となって、組曲の大きな幕を閉じる。この曲はテレビ朝日「ナニコレ珍百景」という番組でも使われているため、なじみのあるメロディであるかもしれない。

 

ここを聴いてほしい!by熊大フィル

「オーケストラには珍しい楽器が登場します!」

 曲の中で、アルトサックスやユーフォニアム、ピッコロトランペットなど、普段のオーケストラでは演奏されない楽器が登場する場面があります。いつ出て来るのか、またどの楽器を担当している人が演奏するのかを良く見て、そしてどんな音色なのかじっくりとお聴きください。

「ソロを演奏します-トランペット:朝倉菜穂子-」

<第1プロムナード>~有名なフレーズのソロ~

 冒頭のトランペットソロを吹きます。こんなどソロは今まで経験がないので、とっても緊張しています。初めて合奏で音を外したときは、弦の人に振り返られて怖かったです(笑)でも上手くいったときは色んな人が「よかったよ!」と言ってくれたり、ソロの吹き方で悩んでいたときは金管のみんなが相談に乗ってくれたり、アドバイスをくれたり励ましてくれたり、多くの人に助けられながら練習してきました。応援してくれる団員の為にも、聴きに来てくださるお客さんの為にも、このソロは成功させなければと感じています。本当に本当に怖くて仕方ないのですが、何回も練習してきたソロなので何か少しでも伝わるような演奏ができるように頑張ります。

<サミュエル・ゴールデンベルクとシュムイレ>~ピッコロトランペットを使います~

 ピッコロトランペットで演奏します。ピッコロトランペットは普通のトランペットよりも小さく、高い音が出ます。見た目は可愛いです、見た目は。でも吹くにはとても体力が要る楽器で、始めの頃はちょっと吹くだけで酸欠になっていました。これでも慣れてきた方なのですが、今でもこれを吹き終わったあとは息切れします。そんな見た目と性格のギャップが激しい楽器です。9月に楽器を借りて、なかなか苦戦しましたが最近はだいぶ仲良くなってきました。ピッコロトランペットを吹くのはこれで最後かもしれないのでぜひ聴いていただきたいです!

 <カタコンベ>~金管の壮大で迫力のある演奏~

  金管がメインの曲です。他の金管が盛り上げてくれたところで、トランペットがソロをいただきます。暗い雰囲気の中に響くレクイエムを表現しているそうなので、哀愁漂うような大人な音で演奏できるよう頑張ります。